社会課題

フードロス削減に挑戦するフードシェアリングビジネス12選

フードシェア

世界の全人口76億人のうち約8億2100万人(9人に1人)が飢えに苦しんでいるといわれているにも関わらず、年間全世界で生産されている食料は40億トンのうちの13億トン(約3分の1)が捨てられているというのが現状です。
こうしたフードロスの問題は、SDGsのターゲットの1つである“つくる責任 つかう責任”に設定され、日本国内では「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称 食品ロス削減推進法)が、2019年10月1日に施行されました。

この記事では、フードロスの現状と、フードロスの削減に挑戦するフードシェアリングビジネスを紹介していきます。

世界と日本のフードロスの現状とその原因

まだ食べられる食品なのに捨てられてしまう食品をフードロス(食品ロス)と呼びます。

国連WFPニュースである「考えよう、飢餓と食品ロスのこと。」によると、世界の全人口76億人のうち約8億2100万人が飢えに苦しんでいるといわれています。割合的には9人に1人です。

また、年間全世界で生産されている食料は40億トンといわれています。そのうちの13億トンが捨てられているという現状があります。実に3分の1の食料が毎年処分されているのです。
先進国では食料が余って捨てられ、発展途上国でも飢えに苦しんでいる人が多いにもかかわらず、出荷前に痛んでしまうなどして食料が捨てられているのが現状です。

農林水産省の「食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について」や、環境庁の「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成28年度)の公表について」によると、平成28年には日本国内で643万トンのフードロスがでたそうです。
これでも前年よりも3万トン減ったという統計がでています。しかし、日本の食料自給率は38%に過ぎません。食べ物の輸入が多いにもかかわらず、643万トンのフードロスは少ない量とは言えません。食品を輸入に頼っているにも関わらずフードロスがでてしまうのは大いなる無駄と言えるでしょう。

フードロスの主な原因は、食品を過剰に生産してしまうことだといわれています。生産の段階で需要を超える量の食品を作ってしまうと、余ってしまうのです。
しかし、例えば農業など天候や災害によって凶作になる可能性のあるものは、生産する量の調整は難しくその場合は加工段階での調整が必要となります。

フードロスが起こすさまざまな問題

世界では13億トンのフードロスが発生しているといわれています。これによってどういった問題が起こるのでしょうか?

地球温暖化が進んでしまう

フードロスによって食品が破棄されるときに莫大なエネルギーを使います。
捨てられた食品はゴミとして燃やされます。その際に発生した二酸化炭素によって地球温暖化が進むのです。
また、燃えたカスは埋め立てられることが多いのですが、その埋立地からでるメタンも温暖化を進行させるといわれています。
フードロスは食べられる食品が破棄されることですので、人に食べられれば燃やされることはありません。その分温暖化を進行させることはないのです。

食べ物のある国と食べ物がない国との格差が広がる

世界で作られる年間40億トンの食料のうち、多くは先進国に集中します。国としての収入が多く消費が見込まれるからです。
フードロスが多い地域は先進国で最も多いのが北アメリカ、次いでヨーロッパとなっています。
もともと発展途上国は先進国より国としての収入が低く届く食料も少ないため飢餓が問題となっています。
それに加えて先進国で食べ物が無駄に破棄されているとなると、必然的に食べ物のある国とない国との差が広がってしまうのです。

ゴミ処理コストと灰の埋め立てによる経済的負荷

フードロスによってゴミが増えます。
そのゴミを処理するには運搬や焼却、埋立地に埋める作業に莫大な費用がかかります。これによって各国の経済に負担をかけることになるのです。
もともと食べられる食品でゴミにはならず、フードロスさえなければ必要のない費用ですので、これほど無駄な費用はありません。

フードロスを減らすための対策

世界がおこなっているフードロスに対する対策は、例えばフランスでは2016年に世界初となる「食品廃棄禁止法」を制定し、食品の廃棄を禁止しました。
一定以上の売り場面積があるスーパーに売れ残った食品の廃棄を禁じています。その結果、売れ残った食品は破棄せずに福祉施設などに食べ物を無償で届けるフードバンクなどの団体に寄付したり、家畜などの飼料にしたりしているそうです。

アメリカでは、家庭で賞味期限が迫っているものや、買い過ぎた食べ物などを持ち寄って福祉施設などに寄付するフードドライブという活動が盛んです

日本ではフードバンクについては法律的に難しくなっています。
アメリカなどでは善意によって寄付する品物に万が一不備があった場合でも、意図しない事故であるならば責任を問わないという法律があるのですが、日本にはそうした法整備がされていないからです。
しかし、徐々にではありますが日本でもフードバンクの事業を支援する企業や団体も増えてきています。
さらには自治体によってはアメリカのフードドライブ的な活動をしているところもあります。

近年では日本政府においても、内閣府が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(通称:SIP)」第2期が対象とする12の課題の1つとして『スマートバイオ産業・農業基盤技術』が掲げられており、フードロス問題解決のための「スマートフードシステム」構築が目標とされています。

例えば、開発・生産、流通・販売・静脈系である残渣に至るまでの、「スマートフードチェーン」をつくることで必要なものを必要なときに必要な量だけ生産して届けるという仕組みをつくるといったことを目指しています。

フードロス削減に挑戦するフードシェアリングビジネス

フードロス削減にビジネスを通して挑戦する事例を紹介します。

HenoHeno

HenoHenoのサイト画像▼運営サイト: HenoHeno

「フードロスを美味しく解決する」をコンセプトに、規格外などの理由で廃棄されていた果物を、冷凍テクノロジーで新食感のフローズンフルーツに作り変え、オフィスやご家庭にお届けするサービスです。

使用する素材は全て純国産・無添加の果実で、凍っていながらサクッと噛める食感や、フレッシュな風味や甘味がある点が特徴となっています。
健康経営やSDGsを重視する企業を中心に高評価を得ており、2019年3月のオフィス向けサービスを開始から約半年で、導入企業数が累計100社を突破しています。また、ロスの果物の提供元である連携生産者は全国約50拠点にのぼり、月次成長率50%で成長を続けています。

シェアシマ

シェアシマのサイト画像▼運営サイト: シェアシマ

ICS-net株式会社(東京都)が2019年2月に開設した、食品原料を扱う食品メーカー・食品工場のためのBtoBマッチングサービスです。
同社では、『シェアシマ』の取り組みが、現代の日本の以下のような社会課題の解消を目指しています。

  • 食品原料段階での廃棄ロスの削減
    さまざまな理由で起こる過剰在庫や不動在庫の情報を『シェアシマ』で公開し、少しでも多くの購買企業様に認知・購買いただくことで、原料段階での食品廃棄ロス削減に貢献。
  • 地方創生
    全国各地に埋もれている食品原料や加工技術を駆使した食品原料等を、『シェアシマ』を通じて発信することにより、食品メーカー様の画期的な新商品の開発につなげ、地域活性に寄与する。
  • 働き方改革:
    プラットフォーム上で多くの情報を共有し、販売企業様と購買企業様それぞれの業務を効率化することで、食品業界の働き方改革につなげる。

KURADASHI.jp

KURADASHIのサイト画像▼運営サイト: KURADASHI.jp

株式会社クラダシ(東京都)が運営する社会貢献型フードシェアリングプラットフォームです。
食品ロス削減への賛同メーカーより協賛価格で提供を受けた商品を最大97%OFFで消費者(会員)へ販売し、売り上げの一部を社会貢献団体へと寄付しており、2017年から毎年、事業を評価され、各種表彰を受賞しています。

  • 2017年:「ソーシャルプロダクツ・アワード2017」にて「優秀賞」を受賞
  • 2018年:東京都環境局「チームもったいない」における「Saving Food」部門代表に抜擢
  • 2019年:消費者庁公式HP「食品ロス削減 食べ物のムダをなくそうプロジェクト」掲載
  • 2020年:第7回「食品産業もったいない大賞」にて審査委員会委員長賞を受賞

temite(テミテ)

テミテのサイト画像▼運営サイト: テミテ

Creation City Lab株式会社(神奈川県)が運営する、顧客体験の促進をゲームの様に展開できるプラットフォームです。
temiteはプロダクト・サービスを先にユーザーに使って(体験して)もらい、その対価としてユーザーが体験後にSNS投稿する仕組みというリワードプログラムになっています。

小売店や食品メーカー等がアプリ掲載者となり、消費期限間近の商品購入や販売期間限定パッケージの購入等をタスクに設定し、アプリ利用者はそのタスクをクリアする事によりリワードを獲得するといった手法でフードロスの削減に貢献できると考えています。

TABETE

TABETEのサイト画像▼運営サイト: TABETE

株式会社コークッキング(東京都)が2018年4月にスタートした、フードシェアリングアプリです。
予約客のキャンセルや悪天候による来客数の減少などの理由により、廃棄される恐れのある商品を抱える飲食店等と消費者をつなぐマッチングサービスとなっています。

まだおいしく食べられるけれど、閉店時間や賞味期限などの理由からお店が捨てざるを得ない状況から、TABETEユーザーが食事を救い出すことができます。

Otameshi(オタメシ)

Otameshiのサイト画像▼運営サイト: Otameshi(オタメシ)

株式会社SynaBiz(東京都)が2017年7月から運営している、品質には問題はないが通常の流通が難しく時間の経過と共に処分されてしまう従来廃棄されていた商品を、消費者がお得な価格で購入することができ、さらに購入者様が選んだNPOやNGO等の社会活動団体に売上の一部を寄付できる社会貢献型のECショッピングサービスです。

サービスを開始することで、再流通の販売販路を拡大し、企業が抱える滞留在庫をより多くの消費者のもとへ届けることが可能となります。

ロスゼロ

losszeroのサイト画像▼運営サイト: ロスゼロ

株式会社ビューティフルスマイル(大阪府)が運営する、食品メーカーの規格外品となり廃棄されてしまう食品を買い取り、一般消費者や法人(定期購入含む)に作り手のストーリーとともに届けることで「みんなが笑顔になれる社会」を目指すロスゼロプロジェクトのオンラインショップです。
また、オフラインでは規格外食材を当該地域で消費できる食事会を開催しています。

No Food Loss

No Food Lossのサイト画像▼運営サイト: No Food Loss

株式会社エイチ・アイ・エスのグループである、みなとく株式会社(東京都)が運営する、飲食店や小売店において販売期限や季節限定パッケージなどの理由からまだ食べられるのにやむなく捨てられてしまう商品がクーポン形式にて発行されお得なお買い物が楽しめるという、食品ロスの解決を目的としたクーポンアプリです。

2020年2月現在では、首都圏、中国地方を中心に、約100店舗のコンビニエンスストアなどでサービスを利用可能です。

Render(レンダー)

Renderのサイト画像▼運営サイト: Render(レンダー)

Render株式会社(岐阜県)が運営する、賞味期限が近づいているなどの“わけあり品”を、お買い得に購入できる、詰め放題ショッピングサイトです。

食品の生産・製造・販売に関わる傷モノや規格落ち品、B品、訳あり品などを、販売時に設定した連打ゲームにトライすることで「楽しく、おトク」を感じられる新しい買い物の仕方を提供しており、ビジネスモデル特許の出願もしています。

Wakeari(ワケアリ)

Wakeariのサイト画像▼運営サイト: Wakeari(ワケアリ)

価格比較・レビューサイト「Shoply」などを運営するInSync株式会社が2020年5月に開設したECサイトです。

事業者の在庫商品を通常よりも安い価格で販売することでロスを回避し、消費者は高級飲食店に卸される生鮮食品などの商品を通常よりも安い価格で購入することで、「買って応援・食べて応援」することできるショッピングサイトとなっています。

Reduce Go

ReduceGoのサイト画像▼運営サイト: Reduce Go

SHIFT株式会社が2018年4月にサービスを開始した、余剰食品を提供している小売店やレストランなどから、1日2回までフードを受け取れるフードシェアリングアプリです。

フードロスを減らしたい飲食店とお店の料理を安く食べたいユーザーがマッチングできるようになっており、ユーザーは月1980円で毎日2回までテイクアウトすることができます。
2019年6月にはReduce GOの食品ロス削減量が10,000食を突破しました。

unica(ウニカ)

unicaのサイト画像▼運営サイト: unica

ウニカはユニークな野菜や果物をお得に買える、オンラインのファーマーズマーケットです。

形がわるい・規格に合わない(大きすぎる、小さすぎる)・傷がついているなどの理由で市場に出荷できず、捨てられてしまう野菜や果物を、生産者と消費者が直接コミュニケーションを取りながら自由に取引できます。
登録料、年会費、出品費などは無料。取引成立時に、商品の販売価格の10%が手数料として発生します。

終わりに|フードロス削減に挑戦するフードシェアリングビジネス

世界各国で問題となっているフードロスを減らすためには国や自治体レベルの大きな活動も大切ですが、ひとりひとりが意識することが重要となります。

特に日本はフードロスの約半数は家庭から出ているともいわれているのです。ひとりひとりが必要な分だけの食べ物を買い、無駄にしないことがフードロスを減らすことにつながります。

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はいぶりソーシャル編集部
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社会課題やソーシャルビジネスカテゴリーの記事を担当しています。