社会課題

未来の社会を作るソーシャル・ワード16選

未来ワード

より良い未来の社会を形づくっていくことに関係している言葉(用語)を「ソーシャル・ワード」と名付けてまとめています。

インクルーシブ社会(インクルージョン)

インクルーシブ社会(Inclusive Society)。包摂・包容を意味するインクルージョン(inclusion)とも呼びます。
社会を構成するすべての人が、性別・人種・民族・国籍・出身地・社会的地位・障害の有無などの属性によって排除(exclusive)されることなく、誰もが分け隔てなくあたりまえに生活することができる社会のことを指しています。

インクルーシブ(Inclusive)という表現は1994年の「サマランカ宣言」で初めて国際社会で用いられたと言われています。その後は主として教育分野において「インクルーシブ教育」として使用されてきました。ビジネスの現場においては、女性・外国人・LGBT・障害者などの多様な人々が互いに個性を認め合いながら一体となって働いているという状態を指します。

2015年9月に「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択された際のアジェンダの本文で40回出てくるほどのこれからの社会を示す重要なキーワードとなっています。

エシカル消費

エシカル消費(Ethical Consumption)とは、私たち消費者が購入する商品が「いつ・どこで・誰がどうやって作ったのか?」という生産・流通の背景にまで気を配って、社会問題の解決に貢献できる商品を購入しましょう」という活動です。
我々が何気なく購入している商品はもしかしたら貧困国の子ども達を低賃金・⻑時間働かせて作ったものかもしれません。そうした背景を知り、搾取を助長しないものを買うことは社会問題の解決にもつながります。

国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)に「つくる責任、つかう責任」という項目があります。エシカル消費を実践することで、そうした責任を果たすことにつながります。
また、貧困をなくす、人や国の不平等をなくす、気候変動に具体的な対策を、海の豊かさや陸の豊かさなどを守る、といった目標を解決していくために、エシカル消費はとても有効です。

SDGs(エス・ディー・ジーズ)

「Sustainable Development Goals」を略してSDGs(エス・ディー・ジーズ)と呼びます。日本語では「持続可能な開発目標」と表します。
2015年までの達成を目指していた「ミレニアム開発目標(通称MDGs)」を継承して2015年9月に国連総会で採択されました。

2030年に向けた具体的行動指針で、グローバル目標として、17の分野別目標と169項目のターゲット(達成基準)から構成されています。17の目標の一部を挙げると、”貧困や飢餓をなくす”といったことや、”保健や福祉・質の高い教育・安全な水とトイレ・クリーンなエネルギーを皆で享受する”といったものがあります。

日本でも企業の社会的責任に対する要求の高まりの流れを受けて、大企業を中心に積極的に経営に導入しようと動いています。日本政府はSDGsに係る施策の実施について「持続可能な開発目標 (SDGs) 推進本部」を設置しています。

関係人口(かんけいじんこう)

関係人口とは”地域と多様に関わる人々”を指す言葉です。
地域を行き来する人や、地域にルーツがあるが別の地域に住んでる人、過去に勤務・居住していた人、一定期間滞在していた人など、その地域に所縁(ゆかり)がある人々が「関係人口」に該当します。
生まれた時からずっと住んでいる人や、外から移住してきたような「定住人口」と、観光に訪れる一過性の「交流人口」の中間にあたる概念といえるでしょう。

地方は人口減少や高齢化によって、地域づくりの担い手不足という課題に直面しています。
その地域のことを自分ごととして考え、未来に向けて良い変化を生み出す人材の候補として「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が期待されています。

幸福度

国民総幸福量(Gross National Happiness – 略称:GNH)という指標があります。
経済的側面から物質的な豊かさを測る指標である国内総生産(Gross Domestic Product – 略称:GDP)に対し、精神面での豊かさを測る指標として、1972年にブータン王国の提唱で、ブータン王国で初めて調査されました。
1990年代からの急速な国際化に伴って、ブータンで当たり前であった価値観を改めてシステム化する必要性を感じて開発。現在のブータン政府は国民総幸福量の増加が政策の中心となっています。

国連も2012年以降、150以上の国や地域を対象とした「World Happiness Report(世界幸福度調査)」を発表するようになりました。
この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値を基に、GDPや健康寿命を含む複数の説明変数を用いて分析しています。
2020年はフィンランドが3年連続で最も幸福度の高い国となり、日本は62位で2019年の58位から4ランクダウンという結果になりました。
日本は2010年代前半は40位台をキープしていましたが、2020年には過去最低を記録しており、年々低下傾向にあります。

その他の幸福に関する世界的な調査としては、ミシガン大学を中心に行われてきた「世界価値調査(World Values Survey)」や、イギリスのレスター大学の「世界幸福地図(World Map of Happiness)」などがあります。
また、フランスのサルコジ大統領が、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツやアマルティア・センといった経済学者に委託してGDPに代わる指標に関する報告書をまとめています。

サードプレイス

サードプレイスとは「居心地の良い第3の場所」を指します。カフェ、クラブ、公園などがあります。
アメリカの社会学者であるレイ・オルデンバーグは、

  • “第1の場”をその人の自宅で生活を営む場所
  • “第2の場”は職場や学校等の、その人が最も長く時間を過ごす場所
  • “第3の場”はコミュニティライフの“アンカー”ともなるべきところで、より創造的な交流が生まれる場所

であると言っています。そして、オルデンバーグが定義するサードプレイスには、8つの特徴があります。

  1. 中立
  2. 平等
  3. 会話が主たる活動
  4. アクセスしやすさと設備
  5. 常連・会員(新参者にも優しい)
  6. 控えめな態度・姿勢
  7. 機嫌がよくなる
  8. 第2の我が家のよう

スマートシティ

スマートシティの定義は発信主体によって異なる部分もあり、明快に確立はされていません。例えば、

  • 【国土交通省】
    都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区
  • 【経済産業省】
    家庭やビル、交通システムをITネットワークでつなげ、地域でエネルギーを有効活用する次世代の社会システム
  • 【総務省】
    都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化し、生活の利便性や快適性を向上させるとともに、人々が安心・安全に暮らせる街

というように、国土交通省・経済産業省、総務省でそれぞれ定義が異なります。ただ、“先端技術を駆使して都市の課題解決に注力する”という方向性は共通しています

一般的には「ITや環境技術などの先端技術を駆使してまち全体の電力の有効利用を図ることで、省資源化を徹底した環境配慮型都市」といったように「環境」面が注目されてきましたが、近年では「モビリティ(交通)」「ウェルネス(健康)」「セキュリティ(安全)」といったように、都市に暮らす人々のハード・ソフトを含めたインフラ全般にまで範囲が広がっています。

スマートシティ
スマートシティの動向|CaaS(City-as-a-Service)の時代へ2020年1月にトヨタが静岡県裾野市に「Woven City」という実験都市を作ることを発表したため、スマートシティに改めて注目が集まっ...

スマート農業

日本の農業では高齢化と労働力不足が深刻な問題となっています。
そのため、農作業における省力化・軽労化、栽培技術の継承を進め、新規就農者を確保するための対策が急務となっています。
スマート農業とは、ロボット技術やICTを活用して省力化・精密化・高品質生産を実現する新たな農業のことを指します。

スマート農業の将来像として、農水省では以下のような例を挙げています。

  1. 超省力・大規模生産を実現
    GPS自動走行システム等の導入による農業機械の夜間走行・複数走行・自動走行等で、作業能力の限界を打破
  2. 作物の能力を最大限に発揮
    センシング技術や過去のデータに基づくきめ細やかな栽培(精密農業)や営農者の有益な知見との融合等により、農林水産物のポテンシャルを最大限に引き出し、多収・高品質生産を実現する。
  3. きつい作業、危険な作業から解放
    収穫物の積み下ろしなどの重労働をアシストスーツで軽労化するほか、除草ロボットなどにより作業を自動化
  4. 誰もが取り組みやすい農業を実現
    農業機械のアシスト装置により経験の浅いオペレーターでも高精度の作業が可能となるほか、ノウハウをデータ化 することで若者等が農業に続々とトライ
  5. 消費者・実需者に安心と信頼を提供
    クラウドシステムにより、生産の詳しい情報を実需者や消費者にダイレクトにつなげ、安心と信頼を届ける
スマートアグリ
農業の活性化に挑戦するスマート農業ビジネス12選日本の農業はポテンシャルがあるといわれながらも、高齢化や労働力不足から生じる耕作放棄地の問題や、長年培われてきた高品質の農作物を作る知恵...

スマートヘルスケア(スマート医療)

膨れ上がる社会保障費抑制のために、健康寿命を延ばすこと、即ち、病気予防を目的とするヘルスケア領域の取り組みが重要となっています。

NRIの予測では、生活者の日常の活動に関する情報やバイタルサイン(体温、脈拍などの生命徴候)を収集・分析してQOLの改善につなげていくヘルステック(HealthTech)の国内市場規模は、2025年度には2,254億円となることが予想されています。

スマートヘルスケアに用いられる技術には、以下のようなものがあります。

  • ウェアラブル端末(スマートウォッチ・スマート衣料等)
  • IoT
  • AI(人工知能)
  • ビッグデータ
  • 医療クラウド
  • VR・AR(仮想現実・拡張現実)

ソサエティー5.0(Society5.0)

「Society 1.0(狩猟社会)、Society 2.0(農耕社会)、Society 3.0(工業社会)、Society 4.0(情報社会)に続く新たな社会(超スマート社会)として、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムによって経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」として日本政府が提唱したものです。

政府広報のSociety 5.0キャンペーンサイトでは、社会課題解決が期待される事例が紹介されています。

  1. 無人ドローンが荷物をお届け
    過疎地での生活を便利に。物流業界の人手不足解消につながる
  2. 遠隔診療で医師の診察
    在宅での高齢者の見守りが行えるようになり、医療・介護の負担軽減につながる
  3. 無人トラクターの活用
    GPSを用いた自動操縦のトラクターの利用で農業生産効率がアップ。人手不足の解消にもつながる
  4. 自動走行車で高齢者を輸送
    過疎地での電車やバスの路線廃線による買い物難民化の問題解消につながる

早期の実現が望まれますが、多種多様で膨大なデータを連携させるには多大な時間と投資を伴います。

二拠点居住(デュアルライフ)、多拠点居住

二拠点居住(デュアルライフ)、多拠点居住とは、例えば平日は都会で仕事中心の生活をし、週末は田舎で暮らすといったように、2つ以上の暮らしの生活拠点をもつライフスタイルのことを指します。

ミレニアル世代(20~30代)が特に関心を寄せており、リクルートの「2019年のトレンド予測」によれば、都心と田舎の二拠点生活(デュアルライフ)を積極的に楽しむデュアラーの登場が指摘されています。
2018年には約17万人がデュアルライフを開始しており、意向者は1,100万人に及ぶとの推計を出しました。

住まいを2つ以上持つとなるとコストがかかりますが、地方では空き家問題や「関係人口」の増加を目指す地方自治体が積極的に支援していたり、住まいのサブスクリプション(定額)サービスが登場してきたことで、二拠点居住(デュアルライフ)や多拠点居住のハードルが低くなりつつあります。
また、都市部で培った仕事のノウハウを地方で活かして、2つの地域で仕事を持つ二地域就労型で働く人も現れています。

他拠点生活
多拠点居住やワーケーションを促進する最新ビジネスまとめ近年、ミレニアル世代(20~30代)を中心とした多拠点居住という動きが顕在化しており、注目を集めています。 地方創生の切り札ともなる、...
Gerd AltmannによるPixabayからの画像
空き家問題に挑む注目ソーシャルビジネスまとめ空き家問題は人口減少・高齢化・少子化といったメガトレンドを背景にしているため、一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、それだけに様々な...

バンライフ(VANLIFE)

バンライフとは、車(バン)をDIYによって“移動できる生活拠点”に作り替え、旅して暮らすライフスタイルのことを指します。
アメリカ出身の元デザイナーであるフォスター・ハンティントンによって生み出された造語です。バンライファーという、バンライフ実践者を指す言葉も生まれています。

欧米を中心に人気が広がっており、インスタグラムで「#vanlife」と検索すると700万件(2020年5月時点)もの投稿を見ることができます。
VANLIFEインスタ画像 テレワークやリモートワークが広がってきたことから、日本でもバンライフに挑戦する人たちが増えてきています。雑誌やテレビに取り上げられたり、ユーチューバーも現れており、認知度が徐々に高まりつつあります。

地方の空き家や空いたスペースを利活用できることから空き家問題解決への貢献や、リモートワークにやワーケーションによる地方活性効果も期待されています。

他拠点生活
多拠点居住やワーケーションを促進する最新ビジネスまとめ近年、ミレニアル世代(20~30代)を中心とした多拠点居住という動きが顕在化しており、注目を集めています。 地方創生の切り札ともなる、...

ベーシックインカム

ベーシックインカム(basic income)とは、政府が全国民に対して最低限度の生活を保障するために現金を支給する政策のことをいいます。 頭文字をとってBIと呼んだりもします。

生活保護や失業保険、子育て養育給付などの現金給付政策をBI(ベーシックインカム)と表現することもあり、無条件で国民に現金を給付する政策はそれと区別するためユニバーサルベーシックインカム(Universal Basic Income)、頭文字をとってUBIと表現されることもあります。
また、ベーシック・インカムを導入するかわりに、既存の個別対策的な社会保障を大幅に縮小、もしくは全廃することを前提としています。

ダニエル・ラヴェントスは、ベーシックインカムは、

  • 世帯にではなく個人に対して支給されること
  • 他の収入源からの所得を考慮しないこと
  • 仕事の成果や就労意欲の有無は問わないこと

という3つの原則に従わなければならないと主張しています。

ベーシックインカム
ベーシックインカムとは?コロナ禍でスペインが導入決定貧困や所得格差が拡大していることや、AIの発展により将来的な失業増大が懸念されていることなどを背景として、ベーシックインカムについての注...

MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)

情報通信技術を活用することによって、自家用車・タクシー・バス・鉄道・航空・海運等の様々な交通手段による移動をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず1つのサービスとして統合されたもので、新しい移動の概念といえます。

MaaS実現のためには、パーソナルデータ、運行情報、位置情報、交通情報などの移動・交通に関する大規模なデータをオープン化して連携することが必要となります。
また、サービスの深化には、5GやAI、自動運転などの各種先端テクノロジーの進展レベルが大きく関わってきます。

MaaSの利点としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 人や物の移動が最適化(効率化)されることにより、都市部での交通渋滞が緩和
  • 〃二酸化炭素の排出量が減少
  • 公共交通機関の収入増加や運営効率の向上
  • 自動運転車を使用することで交通手段が少ない地方での利便性が高まる
  • 個人の移動に関する利便性の向上と経済的負担の軽減

このようにMaaSの進展によるインパクトは大きいものの、自動車の走行データは自動車メーカー、鉄道やバスの運行情報は公共交通機関、ユーザーの乗り換え案内の検索履歴データは各種検索サービス提供会社など、多種多様なデータは個別の企業・業界ごとで囲い込まれているため、技術的な問題の他にも、主導権争いなどの競争戦略上の問題も、連携していく上でハードルとなります。

MaaS(mobility-as-a-service)
MaaS(Mobility-as-a-Service)社会課題解決のイノベーションにつながるAIや5Gなどの急速な進展を背景にして、自動運転の実現が目前に迫っています。 人々の暮らしにおいても、車を所有せずにシェアするような新...

リカレント教育

recurrent(リカレント)とは”反復・循環”を意味する英語で、リカレント教育とは、”学校教育を終えた後の社会人が、大学等の教育機関を利用して、職業能力の向上につながる高度な知識や技術を習得するために、生涯に渡って就業と就学を繰り返すこと”を指しています。

リカレント教育論の概念は、1969年にスウェーデンのオロフ・パルメ氏が国際会議で議題とし、1970年に経済協力開発機構(OECD)が公式採用し、1973年にリカレント教育に関する報告書が公表されて広く認知されるようになりました。

近年では、急激に進む高齢化や生産労働人口の減少、年金受給開始年齢の引き上げ等から、現在の50歳以下の現役世代は70歳まで働くことが前提になるといわれています。
また、人生100年時代と呼ばれる一生を送るに際し、心の豊かさや生きがいを維持し続けるためにも、リカレント教育の必要性が強調されるようになっています。

ワーケーション

ワーケーションとは、”ワーク(Work)”と”バケーション(Vacation)”を組み合わせた造語で、

テレワークを活用し、普段の職場から離れ、リゾート地等の地域で、普段の仕事を継続しつつ、その地域ならではの活動を行うこと <出典>一般社団法人日本テレワーク協会ホームページ

を指します。

2019年7月には、65の自治体(1道6県58市町村)が会員として参加する『ワーケーション自治体協議会〈通称「ワーケーション・アライアンス・ジャパン(略称:WAJ)〉』の設立に向けた協力確認書の署名式が行われるなどの積極的な動きがあります。

設立に向けた「ワーケーション・スタートアップ宣言」でワーケーションの意義として以下の5項目を挙げています。

  1. 都市部の人口集中の緩和や地方への移住の促進
  2. 異なる地域や企業間での協業を進めることでイノベーションを活発に創出
  3. 人々の健康と生活の確保や雇用の促進などSDGs(持続的な開発目標)の実現
  4. 長期滞在を通じた人口の創出・拡大
  5. オリパラなどの大規模イベントにおける地域への人の流れの促進
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はいぶりソーシャル編集部
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社会課題やソーシャルビジネスカテゴリーの記事を担当しています。