社会課題

母子家庭の貧困問題とは?|シングルマザーを支援する制度やサービスも紹介

シングルマザーと子供

人口減少問題への対策として子育て支援が叫ばれているにも関わらず、母子世帯(シングルマザー)への支援は十分とはいえません。
日本のひとり親世帯の貧困率は50.8%(2015年)と半数を超えており、OECD加盟国35カ国中ワースト1位という最悪の状況なっています(OECD調査より)

ここでは、シングルマザーの現状と問題を整理すると同時に、支援制度や、母子家庭の支援に取り組むソーシャルビジネスを紹介していきます。

母子世帯の現状

平成29年度 母子家庭の母及び父子家庭の父の 自立支援施策の実施状況(厚労省) <出典>「平成30年度 母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況」(厚生労働省子ども家庭局)

厚生労働省の『平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』によると、母子以外の同居者がいる世帯を含めた全体の母子世帯数は約123万世帯(そのうち母子のみにより構成される母子世帯数は約75万世帯)となっており、日本全体の約5000万世帯の約2.5%となっています。

父子家庭は約19万世帯となっており、ひとり親世帯に占める割合は母子世帯の方が6倍以上多くなっています。

シングルマザーになった理由は「離婚」が79.5%と圧倒的に多く、「死別」が8%となっています。

母子家庭の平均年間収入(母自身の収入)は243万円となっています。厚生労働省の『平成29年国民生活基礎調査の概況』によれば、全世帯の1世帯当たり平均所得金額は約560万となっているので全世帯平均の43%程度の低所得状況となっています

母親の就業率は81.8%となっており、その内訳を見てみると、43.8%がパート・アルバイト等となっていることが平均年収を押し下げる原因となっています。

シングルマザーが抱えている問題とは?

ここからは、多くのシングルマザーが抱えている問題を3つ紹介します。

収入が少なく困っている

多くのシングルマザーが抱えている最大の問題は「収入が少ない」ということがあります。

内閣府男女共同参画局の「共同参画」2019年2月号には、ひとり親家庭の貧困率は半数以上なっており、2世帯に1世帯が貧困に陥っているというデータもあります。

シングルマザーが収入が少なく貧困に陥ってしまう具体的な原因としては、正規雇用として働きづらいという点があげられます。
多くの女性は出産を機に退職して子育てが落ち着くまでは専業主婦で、その後パートタイマーなどで働きます。シングルマザーとなり、いざ仕事を探すときにはパートとして働いてきた期間があるため、正規雇用で働くのが難しくなるのです。
雇用する側もシングルマザーの場合、子どもが体調を崩した時には休まれてしまうことが想像でき、正規で雇用することをためらうことが多くあります。
このような理由から、シングルマザーの多くがパートやアルバイトで生計を立てざるを得ないのです。

シングルマザーは病気をすると収入がなくなるという問題もあります。
正規雇用の場合は有給休暇を利用したり傷病手当があったりしますが、多くのシングルマザーはパートやアルバイトのため、病気やケガをしてしまうと収入がなくなってしまうのです。
貯金や緊急時の収入源がないシングルマザーにとって、病気やケガは死活問題となります。

また、離婚してシングルマザーとなった場合、多くが離婚した夫から養育費を受け取れる権利がありますが、実際の養育費の受給状況はよくありません
厚生労働省による『平成28年度全国ひとり親世帯等調査』では、養育費を受け取っているのは全体の24.3%に過ぎず、その理由は相手が養育費を支払う能力や意思がないのに加えて、別れた夫と関わりたくないという意見も多くありました。

仕事と子育ての両立が大変

シングルマザーはひとりで生活費を稼ぎ、子育てをしなければなりません。特に子どもが幼い場合は、子どもに手がかかります。とにかく忙しくて時間がないというのが現状です。

2~3歳の頃はイヤイヤ期が始まり言う事を聞かなくなりますし、何に対しても興味を持ち目が離せない時期です。
また、幼稚園児や小学生になると若干落ち着いてきますが、今度は自我が確立されてきて幼稚園や小学校に行きたがらなくなったり、学校などで問題が起きたりします。

シングルマザーは、それに加えて仕事や家事もこなさなくてはなりません。仕事の手を緩めると生活ができなくなりますし、子どもから目を離すと大きな問題にもなりかねません。

仕事と子育ての両立が多くのシングルマザーにとって悩みのタネになっています。

精神的にも厳しい環境

経済的なことや子育てのことなど悩みが多いにも関わらず、相談する人が周囲にいなかったり、忙しすぎて相談する暇がなかったりするため、自身に対する精神的なケアがおそろかになってしまいがちです。

2019年10月に独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表した調査結果では、母子世帯の母親の抑うつ傾向が、ふたり親世帯の約2倍という結果が出ています。

シングルマザーの支援制度

シングルマザーに対する公的支援制度は、就業支援から子供の教育支援に関するものなど、様々なものありますが、多忙な中で把握するのは負担になることもあります。また、福祉漬けになってしまうのもまた避けたいところでもあります。ここでは主な制度をごく簡単にご紹介します。

まずは「児童扶養手当」です。
母子家庭や父子家庭を対象に、子どもの数や所得に応じて地方自治体から手当てが支給されます。0歳から18歳になって最初の3月31日までの子どもがいる世帯が対象となります。

次に「医療費助成制度」です。
この制度はひとり親世帯に対して0歳から18歳になって最初の3月31日までの子どもの医療費のうち、保険医療の自己負担分の一部または全部を助成してくれます。

この他にも自治体によっては住宅手当があったり等、様々な支援制度がありますので、多忙ななか大変ではありますが、やはり住んでいる自治体窓口に、ひとり親世帯についての支援制度を詳しく聞きにいくことをお勧めします。

母子家庭の支援に取り組む団体・ソーシャルビジネス

日本シングルマザー支援協会

一般社団法人日本シングルマザー支援協会(神奈川県横浜市)では、シングルマザーの就職支援や企業と協力した研修プログラムの作成に取り組んでいます。
同会では同会認定の自立支援アドバイザーに、仕事・教育・人間関係などの相談ができます。また、シングルマザーを集めた説明会を開いて、ジェンダーマネジメントに賛同する企業を紹介しています。

終わりに|シングルマザー(母子家庭)問題とは?

シングルマザーは仕事と子育て、家事をこなさなければなりません。すべてをひとりで抱え込むと、心身ともに疲れ切ってしまいます。

各自治体にはシングルマザーにとって助かる支援制度が多くありますので、それらを上手く利用して無理のない子育てをしていきましょう。

「はいぶり」の働くママ向けの記事をご紹介します。少しでもお役に立てれば嬉しいです。

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