働き方改革と株式市場

最近の新聞紙面では人手不足によるサービス縮小やAI導入といった労働者不足問題に関する記事を見ない日がないくらいだ。
政府や各企業の取り組みが目立つ中で、働き方改革に関連した投資家の動きも注目され始めた。

大口投資家も働き方改革を要求しはじめた

2017年3月8日の日経新聞記事によると、ブラックロック・ジャパンは6日、投資先の日本企業400社超に株主としての期待を伝える手紙を送った。労働者の格差拡大やテクノロジーの進歩による失職の問題を指摘し、企業の持続的成長には従業員の働きがいや満足度が重要なことが明らかになったとして、働き方改革を通じた投資や工夫を求めている。ブラックロックはグループで1000社以上、20兆円強の日本株を持つが、株主総会での議決権行使でも考慮の対象にする方針とのことなので、東証一部上場の有力企業を中心に大きな影響を及ぼすだろう。
別の記事では、中東系の政府系ファンドが2年半前から一手不足の解決策を持っている企業のリストアップを証券会社に求めていたという話も掲載されていた。
環境や社会問題に配慮する「ESG投資」への注目が高まっているが、従業員の満足度もESG投資の項目として組み込まれていくかもしれない。



大企業を中心に働き方改革は加速していく

「労働生産性を高める」という方向性に関しては、企業の経済合理性にも合致している。
同日の日経新聞の記事では、大和ハウス工業が賞与の算定基準を「社員1人当たり利益」から「社員が働いた1時間当たりの利益」に切り替えたところ、残業が減って生産性が高まり社員の賞与も増えたという話や、戸田建設、カゴメといった優良企業が生産性を経営指標として公表しはじめたという事例が紹介されていた。
人口減少に伴う人手不足や過剰労働への批判が世間では高まっており、生産性の低さを現場の長時間労働で補ってきたこれまでの構図は既に成り立たなくなっている。

労働者にとって良い話ばかりではない

こうした動きによって、長時間労働問題は企業体力のある大手企業を中心に減少していく可能性が高いが、生産性が追求されることによって、今度は知的・精神的なプレッシャーが強まっていくことは避けられないだろう。
そのことによって、物理的な労働拘束時間は減るものの、勤務時間外においても仕事のことを考え続ける時間が増えることが想像される。
また、AIやロボットへの仕事の置き換えが進むことで徐々に労働者不足の解消が進むという可能性もある。その時、産業界から求められる知識とスキルを保有していない労働者は失業の憂き目にあうことになるだろう。

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