ワーク・ライフスタイル

人口減少問題|日本でこれから起きること

恐怖の「人口減少カレンダー」

「未来の年表〜人口減少日本でこれから起きること(河合雅司)」では「人口減少カレンダー」という形で、「いつ(西暦何年に)」「どうなるか」を示した上で、それぞれのトピックについて詳述するという形で話が進んでいきます。

そのカレンダーの中で、特に印象が強かった5つのトピックを抽出してみたところ、必然的に、ベビーブーマー世代(団塊世代、団塊ジュニア世代)がターニングポイントを迎える年が選ばれました。

私自身が一足早くカレンダーの問題が顕在化した「団塊世代に近い”介護状態”にある親をもつ団塊ジュニア世代」なので、尚更この2つの世代の問題を現実問題として感じているからかもしれません。

2021年(4年後) 団塊ジュニア世代が50代に介護離職が増え始める
2022年(5年後) 団塊世代が75歳に突入し、「ひとり暮らし社会」が本格化する
2024年(7年後) 団塊世代がすべて75歳以上となり、社会保障費が大きく膨らみ始める
2040年(23年後) 団塊ジュニア世代がすべて65歳以上となり、大量退職で後継者不足が深刻化する
2050年(33年後) 団塊ジュニア世代がすべて75歳以上となり、社会保障制度の破綻懸念が強まる

現在でも、地方にいくと高齢者と介護施設ばかりが目につきます。また、親の介護費用の明細を見ると、「この3倍以上が本来は実費としてかかっていて税金と社会保険で賄われているのだな。将来はどうなってしまうのだろう。」と考えるだけでも恐ろしくなってしまいます。

上記カレンダーの2050年(33年後)には、「総人口が1億人、ほぼ4人に1人が75歳以上」というのが人口と年齢構成の概算です。人口構成上、最も多い団塊ジュニア世代(私の世代)が全員75歳以上の高齢者で、人口の4分の1を占めるというのです。社会保障制度が破綻したらいったいどのような社会になってしまうのでしょうか。

筆者(河合氏)によれば、人口統計上は2042年が高齢者の激増期として最大のピンチの時期になると指摘しています。今から25年後、たった四半世紀後に危機は迫っています。

問題が大きすぎてフリーズしている

人口減少にまつわる日々の変化というのは、極めてわずかなので、茹でガエルのようになってしまっているのではないかと思います。

人口統計の予測はかなりの高確率で当たる(ズレが小さい)にも関わらず、目の前に差し迫っていない(今日明日ではない)ことと、大きすぎる問題の前に「為すすべがない」という諦めムードが漂っているように思えます。巨大地震に関しても、東南海、関東大震災がかなりの確率で発生することが予想されているにも関わらず、防災対策は進んでいるとは思えず、自分自身も仕事が東京にあるので転居していません。

一部の賢い富裕層だけが、海外に資産を移したりして対処を進めているという感じでしょうか。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」とばかりに1億総貧乏時代を迎えるか?

悲惨な予想ですが、過去の長い日本の歴史を振り返ってみると、平民は悲惨(貧乏)が普通で、この半世紀が例外的に幸福だったともいえるかもしれません。かつては日本にも”口減し”や”姥捨山”といった時代がありました。

日本人の場合は、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というビートたけしがギャグで風刺したように、皆が平等に貧乏なら耐えられるという国民性なのだと思います。政治家もそれがわかっているから、行き着く先は破滅だと分かっているにも関わらず、敢えて戦略的に痛みを伴う政策を提言することはせずに、行き着くところまで行ってしまうのだと思います。

いざ破綻してしまうと、開き直ってまたがむしゃらに頑張れるのもまた日本人の特性ですが、若者の人口が減少してしまう社会が復活を遂げられるか、多大な疑問が残ります。

北欧国家が自ら戦略的に社会保障のための税負担を引き上げたりしたようなことは国家としてできないでしょう。

一方で、華僑のように国には依存せず、必死に稼いで子供達を世界各国にバラバラに住まわせるほどのリスクヘッジを断行するほどの人も少ないと思います。そんな人は「非国民」と呼ばれるのが日本人の一般的なマインドでしょう。

お金持ちではない普通の日本人のリアルな対策(私案)

とはいえ、危機感をもっている人の方が多いというのもまた現実ではないかと思います。この厳しい時代を少しでもマシに生き抜くための現実的な対策を考えてみたいと思います(特に「都会暮らしの苦しい若い人」を主眼において書いています)。

出費を抑えて現金を増やす努力をする

都会で暮らしている人にとって大きい出費は「家賃」ではないでしょうか。シェアハウスを利用するなどして、できるだけ家賃を落とす努力をした方が良いと思います。できるだけ他人と接触する機会をもった方が、自分を成長させることにつながり、情報の質も上がって、所得向上にもつながる可能性が高まるでしょう。

職業は、住むところに縛られない「ITエンジニア」の仕事が最もお勧めです。エンジニアの数は不足する可能性が高いため、売り手市場となり、会社や仕事を選べる立場に立ちやすくなります。都会で修行を積んで一定のキャリアを築いたら、家賃をはじめとした生活コストを下げるために、地方都市に転居しましょう。福岡市などの”ライフスタイル・バリュー”の高い場所を選びましょう(以下の記事を参考にして下さい)。

『脱東京(本田直之)』を読んで”地方移住”について考えてみたハワイと日本の間でデュアルライフ(二地域居住)をしている本田直之氏による”地域移住”に関する本です。ローカルでクリエイティブな暮らし・働...

次に大きな出費は子供の「教育費」です。子供のためにも「教育」はとても大事です。しかし、有名私立にいかせることが「良い教育」とは限らないことに注意が必要です。世界の超エリートはそれなりの学校に集まりますが、普通の家庭では経済的に難しいでしょう。将来的には中途半端な出身大学の差はそれほど重要ではないでしょう。

若者人口の減少によって大学は誰でも入れる時代になります。一部の有名大学を除けば、学力レベルは劣化しており、この傾向はますます強くなるため、”大学卒”は日本では価値が下がっていきます。一方で、IT専門学校卒の方が価値が高くなります。アメリカの有力IT企業ではエンジニア不足により、専門学校卒業生の採用を増やしています。

フィナンシャル・リテラシーを高めて複利の力を味方につける投資を

上記で残した現金は貯金するのではなく、不要不急の資金以外は株式を中心とした投資に回しましょう。もしくは、自分で何かしらの事業を起こすための資金源として利用しましょう。投資や事業に関しては、また別途改めて書きたいと思います。

健康を維持すること

最も費用対効果が高く、しかも幸せに直結しているのは「健康を維持すること」でしょう。食事に気をつけ、運動を習慣化することで、どれだけの生涯支出を抑えることができるか、その効果は計り知れません。

終わりに

随分と暗い未来の見通しと世知辛い処世術の提案になりましたが、出世や消費志向で皆が同じ方向を見ていた時代は終わりを告げ、個々人が「どう生きるか」のライフプランを描くことができれば、もっと幸福度の高い人生を送ることができる自由な時代が到来したとも言えるような気がしています。

時代の変化に伴う価値観の変化に対応することが一番難しいのは、(自分がそうだからかもしれませんが)段階ジュニア世代なのではないかと思っています。自身も良い事例の一つとなれるように試行錯誤していきたいと思います。覚悟を決めるためにも、皆さんもご一読してみては如何でしょうか?