ワーク・ライフスタイル

コロナ禍で「オフィス不要論」が台頭

オフィス不要論

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による感染症拡大の影響によって在宅勤務(リモートワーク・テレワーク)が増えた結果、オフィス不要論が浮上しています。
アフターコロナ時代の働き方に大きな影響を与えると思われる”オフィスの在り方”について紹介します。

大きな固定費である「オフィス」を見直す動きが活発化

リモートワーク導入については、これまでも働き方改革や通勤混雑緩和策の一環として推進されてきたものの、なかなか進みませんでした。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による感染症拡大の影響によってその状況は激変しました。なかにはTwitter社のように、コロナ終息後も自宅勤務(リモートワーク・テレワーク)を無期限に継続しても良いとする考えを示す企業も出てきており、アフターコロナの時代においてもリモートワークの流れは変わりそうにありません。

BIGLOBEが、”直近3週間で週に1日以上在宅勤務をしている全国の20代~60代の男女1,000人”を対象に実施したアンケート調査(2020年3月13〜15日)によれば、『新型コロナウイルスの流行で日本に在宅勤務などのリモートワークが定着すると思うか』という質問に対し、「定着すると思う」(19.1%)、「一部では定着すると思う」(64.8%)と、8割強がリモートワークが日本に定着する可能性があると回答しました
また、『在宅勤務の普及でビジネス面で起こり得ること』として、「チャットツールが普及する」が48.6%で最多に。続いて「オンライン会議が普及する」(44.9%)「オフィスが縮小する」(41.7%)、「成果主義になる」(40.8%)という結果になりました。(BIGLOBEによる「在宅勤務に関する意識調査」

そのような中で、企業の固定費として大きな比率を占めている「オフィス」を見直す動きが強まっています。
また、コスト削減といった視点に留まらず、テレワークの普及によって働き方そのものが変化していくことから、オフィスを多拠点で使いたい」「週1、月1だけ貸切で使いたい」「社員の家の近くに欲しい」「社員の在宅勤務をサポートしたいといった様々なニーズが出てきています。

こうした働き方の変化に対応するために、自宅でも会社の代表電話(固定電話)をスマートフォンで発着信できるようなIP電話サービスも出てきています

https://hybridstyle.net/ip-phone/

郊外駅前型シェアオフィスが増えていく

これまでも都心部には大規模なシェアオフィスがあり、作業や会議の場として使われるだけでなく、イベントが開催されるなどネットワーキング(人脈形成)の場として使われてきました。

今後はリモートワークが増えていく中で、「自宅では集中できない」「自宅に十分なスペースがない」などといった理由から、家の近くのワークスペースで仕事をしたいという需要が増えることが予想されるため、郊外駅前型のシェアスペースが増えていくでしょう。

現状でも郊外の社員が利用するスタイルの多拠点郊外型シェアオフィスは存在しており、資本力のある大手法人の利用が中心となっています。

中小企業やフリーランスなどが気軽に利用できるようなスペースを提供するための手段として、同じく新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による感染症拡大の影響によって利用が減少しているホテルやカラオケ、カフェなどのスペースを活用するといった動きも出てきています。

自社で持たないクラウドオフィスという形

テレワーク・テクノロジーズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表:荒木賢二郎)は、街中に存在する、ホテル、カラオケ、カフェ、コワーキングスペース、会議室などを多拠点クラウドオフィスとして利用する『Telework Space(テレワークスペース)』アプリサービスを2020年7〜8月に開始予定となっています。
以下のような利用例を想定しているとのことです。

  • 法人契約して、社員個人が在宅ワークの補助として週1程度利用できるように
  • 法人契約して、アフターコロナの打ち合わせスペースとして社員へ提供。社員個人の建て替えや経費精算が不要
  • オフィスを解約して、交通費とオフィス代を社員のテレワーク福利厚生費として提供、TeleworkSpaceアプリで気分転換のカフェワークや、在宅ワークができない社員へのオフィスを多拠点(自宅近く)で提供
  • フリーランスの方が、月額2万円のコワーキングスペースを解約して在宅勤務メインへ。週に1-2回、打ち合わせや気分転換でTeleworkSpaceアプリを利用

また、オフィスとして利用できる施設として以下のような例を挙げています。

  • ホテルのデイユース、民泊の昼間、カラオケなど個室
  • 他社オフィスの余剰スペース
  • カフェやレストランなど営業時間中の空席
  • 居酒屋やダイニングの仕込み時間や混雑していない時間帯
  • 取り壊し予定物件や空きサブリース物件などの空き店舗
  • その他、各種ラウンジやロビー等時間により空席のある施設

シェアリングエコノミーの拡大に従って、AirBnBに代表されるような余剰スペースをシェアするビジネスモデルが増えており、オーナーが貸し出している空きスペースを会議室やテレワークなどのワークプレイスとして利用する機会も増えています。

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また、最近ではこうしたオフィス不要論やテレワークと近しい文脈で「ワーケーション」という概念が注目されています。宿泊施設やお寺などの日常とは離れた空間で、「仕事(ワーク)」と休暇(バケーション)を行うというものです。

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終わりに|コロナ禍で「オフィス不要論」が台頭

新型コロナウィルス感染症の拡大によって、都心のオフィスに社員が集まって仕事をしていることのリスクが可視化されました。

また、今回の禍をきっかけとして在宅勤務の良さも悪さも具体的に認識された上で、今後もこの流れに対応していくということが社会全体の総意と見受けられ、元には戻らないと思われます。

コロナ禍によって、民泊やカーシェアリングなどのシェアリングエコノミーのリスクも可視化されたため、単純なシェアモデル型にではない、集中と分散を組み合わせた形での新しいモデルが模索されていくでしょう。

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